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三大営業力 その3「承諾(心理)型交渉法」

即戦力思考

今週の営業レシピは 三大営業力 その3「承諾(心理)型交渉法」です。

 

「戦略的アイスブレイク」で関係構築を図り、「SPIN式ヒアリング法」でニーズを掘り起こし、その次はプレゼン(提案)、クロージングと流れるプロセスでお客様と「交渉」をしながら、受注へと向かいます。せっかく築いた信頼関係を損なわず、互いの言い分を理解し合いながら交渉を進めることが、肝心であると思います。その交渉方法を「承諾(心理)型交渉法」と呼んでいます。

 

「承諾(心理)型交渉法」は、人間の判断プロセスに組み込まれている「簡易判断基準」

を活用しながら、お願いするのではなく、お客様に1つ1つ確認しながら承諾を得る交渉法になります。「簡易判断基準」とは社会心理学者ロバート・Bチャルディーニが名付けた「影響力の武器」がそれに当たります。

 

まずは「影響力の武器」からご紹介いたします。

「影響力の武器」は下記6つの内容で構成されています。

①返報性の法則

 お返しをしなくてはいけないと感じる人間の性向です

②コミットメントと一貫性

 自分の言葉、信念、考え方、行為を一貫なものにしたい、又は他者からそう見

 られたいという欲求があり、人間の行動を動機づける力の1つです

③社会的証明

 人が取るべき行動は、周囲の人の行動をみて決める心理です

④好意

 好意を抱く人に同意したくなる心理です

⑤権威

 権威あるものの意見には、思考停止で服従してしまう心理です

⑥希少性

 希少なものに価値を感じ、すぐに決断しなければ手にはいらなくなると思う心理

 

6つの「影響力の武器」の具体的活用法は以下になります。

①返報性の法則

・無料お試し期間

・お客様の話を真剣に、共感的理解と肯定的関心をもって聴く

・自分のして欲しいことを先に相手にしてあげる

②コミットメントと一貫性

・YESをとる(YESを積み重ねる)

・お客様の口から発して頂く(人は相手の言葉より、自分の言葉に説得される)

③社会的証明

・データで示す(シェア表、ご利用数、顧客満足度調査表、ランキング等々)

・日経新聞等の記事

・事例

④好意

・第一の要因としては、「見た目の印象」です。清潔感、礼儀正しく挨拶する

・第二の要因は「類似性」です。出身地や趣味等、共通項を探す

・第三の要因は「称賛」。自分の事を褒められると何故か「好意」を抱いてしまう。

・第四の要因は「接触回数」。何度か訪問をする

・最後は「連合」です。一言で例えると「同士」です。お客様と一緒に願望実現へ

⑤権威

・その道のプロである専門家(詳しい人)や課長・支店長・部長と同行

⑥希少性 

人間は「手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくる」、「ある品物の数が少ないか、少なくなりつつあると、欲しくなる」、これが希少性の原理です

・期間限定の特別値引き(決算特別値引き)

・値上げ前商品

 

上記6つの「影響力の武器」を商談場面に応じて、仕込みながら交渉を進めていくのが1つ目のポイントです。

 

2つ目のポイントは「お客様にハードルを1つ1つ確認しながら、ご意見を頂き、承諾を積み上げていく」ことです。言い替えますと、1つ1つお客様に確認するように質問し、都度お客様に許可得たり、お客様の心の内をお話頂きながら、受注の道への承諾を取り付けることです。

例えばプレゼン(提案)実施後、お客様から「それでは社内で検討し、ご連絡致します」と言われた時の具体的交渉例は以下になります。

 

まずは御礼 「有難う御座います」

次にお伺いの質問 「少しお聞きしてもよろしいですか?」

提案内容の確認 「提案内容で何か引っかかるところがありますか?遠慮なく率直に言ってください」

懸念事項の確認 「今回の提案を進めて頂く上で、ネックになることがあるとしたら、どんなことが考えられ

ますか?」

お手伝いの確認 「決裁をとって頂くにあたって、他に何か私ができることはありますか?何でも言って下さい」

決裁の可能性の確認(強気)「この内容で決裁をとって頂けそうですか?」

(弱気)「この内容で決裁を通すのは難しそうですか?」

決裁ルートの確認(お伺い)「こみいったことをお聞きしてもいいですか?」

(枕言葉)「初めての商談なので教えて頂きたいのですが・・」

(ルート①)「今回の提案は○○様が直接社長にご決裁をとって頂けるのですか?」

(ルート②)「御社の稟議申請ってどんな感じで流れるのですか?」

(ルート②)「御社の決裁ルートの中で、最大の関門はどこになりますか?」

(過去) 「○○様がオッケーで、承認されないケースって過去あったりしましたか?」

「それはどんな内容の稟議申請だったのですか?

最後はストレートに確認「今回の提案は、○○様が社長なら決裁頂ける内容になっていますか?」

 

上記やり取りの中で、ネックがみえた時は、その場もしくは、なる早で再提案することが肝です。

 

承諾心理である「6つ影響力の武器」を活用しながら、ハードルを1つ1つ確認するように質問し、お客様にご意見いただきながら、受注の道への承諾を積み上げていきましょう。


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著者プロフィール

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平井 徹

セールスアドバイザー
平井 徹事務所 代表
アン・コンサルティング株式会社 社外取締役
営業の「きつい」を「おもしろい」に

昭和46年生まれ51歳。大阪府摂津市で育つ。6年前に上京、現在横浜市在住。仕事の経歴は平成7年4月株式会社大塚商会入社、飛び込みメインのエリア営業配属。新人賞1位から10年連続で優秀セールス賞受賞。最年少営業マネジャーとなり、その後17年間営業管理職(大阪北支店12年、渋谷支店4年、千代田支店1年)に従事。2021年8月、平井徹事務所開業。兼業にてアン・コンサルティング株式会社の社外取締役就任。2022年7月、BtoB企業の営業支援を本格的に開始。現在顧問先複数社と契約し、社長・営業マネジャーと二人三脚で営業部門の強化に奔走。

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