今週の営業レシピは「営業の基本 ⑦関係性構築力」です。
商品やサービスで差別化がはかりにくい現代においては、顧客との「関係性構築力」はこれまでよりさらに重要な営業の基本となります。いかに早く、いかに深く、信頼関係を築けるかが競合他社との大きな差別化にもなります。また社内においても、自部署・他部署の方の協力がないと仕事は成り立ちません。
関係性構築の三大原則は以下になります。
① 相手のことをよく知る
② 相手のことを受け止め、尊重・共感する
③ 相手のことを気に掛ける
皆さんの信頼している人の事を想像してもらったら、上記3つは必ず当てはまっていると思います。プライベートも仕事も人との関係性構築の原則は同じです。
例えば、初めてお会いするお客様とどのようにして三大原則を使い、関係性構築を図るかをお伝えします。
① 相手のことをよく知る
まず訪問前の事前準備として、現在の自社との取引履歴だけでなく、過去の取引履歴や接点内容等を社内のシステム(SFA等)や前任者に聞く等して、できる限り詳しく知ることです。その上、ホームページ等からもお客様のプロフィールを確認する。何をしている会社なのか?売上規模はどれくらいなのか?従業員は何人いるのか?創業から何年の会社なのか?理念や強みは何なのか?直近3年間の業績推移や従業員の増減はどうなのか?などなどです。
次にその調べてきた内容を、初回訪問の商談時に「戦略的アイスブレイク」として確認するように質問するのです。「まず、冒頭2,3質問させていただいてよろしいですか」でお伺いの質問を行い、了承が得られれば、「前任は○○というもの御社を担当させていただいていましたが、やり残した仕事や改善すべき対応等はございませんか?」や「弊社に対してはどんな印象をお持ちですか?」等からスタートし、当社への不満がないことが確認できたら、「ホームページを拝見したのですが、従業員が50名もいらっしゃるのですね。そのうち営業の方は何名ぐらいいらっしゃるのですか?」、「御社の営業の方はどんな風に営業されるのですか?」、「ホームページを拝見して御社の強みって○○かなと勝手に想像したのですが、もしよろしければ御社のことをもっと勉強したいので、本当のところをご教授いただけますか?」、「ここ数年採用に力を入れてるようにお見受けしましたが、今後も従業員の方はどんどん増やしていく予定ですか?」、「従業員の方が増えられた際、過去お困りになったことは何かありましたか?」、「ホームページに○○とありましたが、今期御社が一番力を入れられていることはどんなことですか?」等々、調べてきた内容をキーに相手に関心をもって質問し、相手のことをよく知るのです。
② 相手のことを受け止め、尊重・共感する
上記のようなこちらからの質問に対して、相手の回答を一旦受け止めます。具体的には「あいづち」を通して、尊重・共感を重ねるのです。
「あいづち」には4種類あります。1つめは「えーえー、そうなんですね。確かにそうですよね。私もそう思います」等の受容・共感型。2つめは「すごいですね。流石です。素晴らしいですね」等のプラスストローク型。3つめは「えーーそうなんですか!、本当ですか!、笑う」等の感嘆型。4つめは相手のキーワードをそのまま返すオウム返し型です。
③ 相手のことを気に掛ける
上記①②を終えると、相手への関心を示せ、相手の自尊心も少なからず満たされています。私たちも「自分のことに興味をもってくれている人」、「自分の意見を肯定してくれる人」、「自分の考えに共感してくれる人」に良い印象をもちますよね。この段階では「警戒」「疑心」は取り払われ、最低限「親和」の状態になっています。こちらの話を好意的に聞いてくれる状態になっているということです。そしてこの段階でようやく、営業の本題に入るのです。しかし一方的な言い方は危険です。せっかく「親和」の状態も崩れる可能性があります。ですので本題を話すときは、相手を気に掛けながら話(質問)をすることを意識しましょう。例えば、お困りごとを探す際に「御社の業界では○○が課題と聞いておりますが、御社ではいかがですか?」「○○が課題と聞いていますが、本当にそうなんですか?」的な言い方や、あるいはサイバーセキュリティ商材をPRしたい際には、「新聞やメデイアでは中小企業のサイバー被害が急増しているとありますが、ご不安はありませんか?」、「最低限のセキュリテイ対策ができてない中、ウイルス感染等で万が一取引先にご迷惑がかかっても、その後の取引への影響は大丈夫ですか?」等々、相手を気に掛けるようなヒアリングやPRの仕方を意識しましょう。
関係性構築力のまとめです。
① 相手のことをよく知る
② 相手のことを受け止め、尊重・共感する
③ 相手のことを気に掛ける
このプロセスを丁寧に繰り返すことで、「信用」、「信頼」が生まれます。そうなると本音で話をしていただけるので、正しい課題の把握、提案の良し悪し、競合状況や決済状況等も容易に把握できるようになります。
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昭和46年生まれ51歳。大阪府摂津市で育つ。6年前に上京、現在横浜市在住。仕事の経歴は平成7年4月株式会社大塚商会入社、飛び込みメインのエリア営業配属。新人賞1位から10年連続で優秀セールス賞受賞。最年少営業マネジャーとなり、その後17年間営業管理職(大阪北支店12年、渋谷支店4年、千代田支店1年)に従事。2021年8月、平井徹事務所開業。兼業にてアン・コンサルティング株式会社の社外取締役就任。2022年7月、BtoB企業の営業支援を本格的に開始。現在顧問先複数社と契約し、社長・営業マネジャーと二人三脚で営業部門の強化に奔走。
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