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営業の基本⑫ 質問力

即戦力思考

今週の営業レシピは「営業の基本⑫質問力」です。

 

質問は、相手を強制的に特定の方向で考えさせる力を持っています。

相手に気づきを与える質問、相手の視点を変えさせる質問、相手の行動を促す質問等々。

人間は自尊心のかたまりと言われています。人間は、他人から言われたことには従いたくないが、自分で思いついたことには喜んで従います。人を動かすには、質問によって、自分で思いつかせることが一番効果的だと思います。

また営業にとって質問は、相手のことを深く知れますし、また質問によって商談を自在にコントロールすることもできます。営業パーソンにとって不可欠なスキルが質問力です。

私は営業5年目ぐらいの時に「質問の研修」を会社の配慮で受講させて頂きました。今振り返りますと、その研修が今の自分の営業スタイルの軸になっており、また大いに成長できたのも、その「質問の研修」のお陰だと思います。


それでは質問の全体像(フレームワーク)から紹介いたします。

①   お伺いの質問

②   状況質問

③   問題質問

④   示唆質問

⑤   解決質問

⑥   合意を得る質問


理想的には上記6つの質問だけで「売り切ります」。別の表現ですと「売り込まない営業」と言われ、質問によって、相手に気づかせ、買う行動を自動的に促すことです。

では誰もがイメージしやすいパソコンを販売する営業で上記フレームに当てはめていきます。

(パソコンのような単純な商品では④示唆質問は無理やり感がありますがご容赦下さい)

①   「パソコンことについて、いくつかご質問させてもらってもいいですか?」

②   「御社の業務でパソコンの使用頻度って高いですか?」

「パソコンはこの事務所で何台ぐらいご利用されてるのですか?」

「こだわりのメーカーとかってありますか?なぜそのメーカーがいいのですか?」

「パソコンを買い替えるサイクルって、どれぐらいってありありますか?」

「買い替える際、コスト以外に重視されるスペックや機能は何ですか?」

③   「購入してから4年ぐらいたっているパソコンはありますか?」

「OSのアップデータ等で動きが遅くなってきたパソコンはありますか?」

「過去パソコンが故障したりの不具合で困った経験はありましたか?」

「買い替えの際、お目当ての機種の在庫がなくなり、仕方なく違う機種を購入した経験はありますか?」

「急なパソコンの値上がりで、余計な出費が掛かったことはありますか?」

④   「4年経過しているパソコンは、故障のリスクが高くなっており、万一故障になった場合、業務が止まったりで困ったりしませんか?」

「パソコンの値上がりの傾向は続いているので、いざ買い替える際、今の価格で買えるスペックより、悪くなっていたらもったいなくないですか?」

「年数が経てば経つほど、パソコンの動作は遅くなりますが、よく使う方にはストレスも溜まりますし、作業時時間も余分に増えますが問題ないですか?」

⑤   「故障前に買い替えることで、業務を止めることはなくなります。4年以上経っているパソコンは遅かれ早かれ入れ替えも検討されると思うので、今買い替えてリスクを無くす方がよくないですか?」

「いざ買い替える際に値上げでもったいない思いをするより、今買い替えてお目当ての機種をリーズナブルに買えた方がよくないですか?」

「故障はしてませんが、動作の遅いパソコンは、よく使われる方ですとストレスも溜まりますし、作業時間も余分に増えるので、快適なパソコンに変えた方がよくないですか?」

⑥   「それでは今のご希望の価格感・スペックがあれば、提案させてもらってもいいですか?」

「相当レアなお買い得機種があれば、早めに決断頂いてもよろしいですか?」

 

ざっとこんな感じですが、何となく6つの質問の性質を理解いただけましたでしょうか。

④示唆質問は相手を脅すような質問にもなりかねないので注意が必要ですし、なくてもいい場合もあると思います。

まとめますと①お伺いの質問で質問の承諾を得て、相手に違和感なく回答してもらえる環境をつくる、いきなりパソコンのPRをする前に②状況質問で現状を相手に認識してもらう(こちらとしては相手を知る)。

そして買い替えにつながる可能性を見極める③問題質問で相手に買い替えてもいいかなと気づいてもらう。次に④解決質問で更に買い替え行動の背中を押す。そして最後も丁寧に⑥合意の質問で相手の意思で合意を頂くという流れです。

上記①~⑥の質問以外に「ホメ出しの質問」というのも課題を気づいてもらう際に有効的です。その他「過去・現在・未来」というフレームもあります。また改めてご紹介させて頂きます。最後にくどいですが、もう一度、「人間は、他人から言われたことには従いたくないが、自分で思いついたことには喜んで従います」。

質問力は意識的に使えば使うほど、どんどん磨かれていきます。VUCAの時代と言われる現代の営業パーソンにとって、最も大事な営業スキルと言えます。



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著者プロフィール

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平井 徹

セールスアドバイザー
平井 徹事務所 代表
アン・コンサルティング株式会社 社外取締役
営業の「きつい」を「おもしろい」に

昭和46年生まれ51歳。大阪府摂津市で育つ。6年前に上京、現在横浜市在住。仕事の経歴は平成7年4月株式会社大塚商会入社、飛び込みメインのエリア営業配属。新人賞1位から10年連続で優秀セールス賞受賞。最年少営業マネジャーとなり、その後17年間営業管理職(大阪北支店12年、渋谷支店4年、千代田支店1年)に従事。2021年8月、平井徹事務所開業。兼業にてアン・コンサルティング株式会社の社外取締役就任。2022年7月、BtoB企業の営業支援を本格的に開始。現在顧問先複数社と契約し、社長・営業マネジャーと二人三脚で営業部門の強化に奔走。

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